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コラム
(2018/02/28)近年、従来のタクシーサービス業務に変化が現れているのは皆さんもご存知かと思うが、このたび、ソニーが配車サービスに参画することを明らかにした。現在、すでにスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、位置情報データと連動することで配車を提供するサービスも始まっているが、ソニーでは、自社が手がけるAI技術を用いたビジネス展開を繰り広げていくという。
・Uber熱が拡散しなかった日本
今から5年近く前のこと。日本に「Uber Japan株式会社」が誕生、アメリカのUber(ウーバー)が独自に開発した自動車配車ウェブサイトと配車アプリを用いたサービス業務をスタートさせた。しかしながら、自家用車を用いての運送サービスは、いわゆる「白タク」行為に該当すると国土交通省から指摘を受け、サービス中止に。その後もさまざまなチャレンジを行うも、現時点で日本では、一般ドライバーによるUber業務は事実上行われてはいない。
一方、近ごろのニュース番組でよく目にするのが、外国人旅行者を対象とした「白タク」。最たる例は、中国人による白タク営業ではないだろうか。彼らは大型ワンボックスカーを用いて空港への送迎に加え、母国語でのガイドも行うようだ。利用者は中国の専用配車アプリを使い、出国前に予約。日本国内での金銭の授受が発生しないため、警察の取り調べを受けても「友人、知人の送迎」と軽くいなしているとも聞く。
・そもそも、AIタクシーって!?
今回紹介するAIによる配車サービスは、Uberのような民間人による配車サービスとは一線を画すもので、利用者にはより便利に、気軽に利用してもらい、導入する企業には、無駄を減らし、より効率的にビジネスに反映させることが第一目標となる。つまり、乗る側、乗せる側の双方にとって、より利便性の高いサービスを具現化していこう、というものなのだ。
では、実際、どの部分に「AI」、つまり人工知能を組み入れていくのか。まずは、日々進化し続ける自動運転車両を用いるということではないことを念頭においていただきたい。自動運転、無人車両によるタクシー営業はまだもう少し先の話だと思われる。話を戻すと、通常、タクシーを利用する場合、街中を走っているいわゆる「流しのタクシー」を捕まえるか、あるいは駅などの公共交通機関と連動したエリアに停車しているタクシーに乗車するか、どちらかのパターンとなる。タクシードライバーはそれぞれ決められた指定の営業エリアで利用者をピックアップすることになるのだが、曜日や時間帯によって、その利用頻度にはバラツキがあるため、これまではタクシードライバー自身の経験値などに頼る部分が多かった。だが、あくまでもアナログ的なデータであり、リアルタイムでの状況把握とは異なるときも少なくはない。そこで登場するのが「AI」ということになる。
・従来のタクシーをより身近にするAI技術
膨大なデータをもとに、利用者のいるエリアを区分化し、最短時間で配車を行うことで効率的な運行が可能となり、安定した稼働率を見込むことができる。また、利用者も配車アプリを利用することにより、いつやって来るかわからないタクシーを待つのではなく、おおよその目安を認識した上で待つことができるため、リスクの軽減につながる。また事前に登録しておけばネット決済も可能であるため、降車時もあたふたすることなく、スマートに利用できるのがありがたい。
今回の参画への発表で、ソニー、およびソニーペイメントサービスは、グリーンキャブ、国際自動車、寿交通、大和自動車交通、チェッカーキャブ無線協同組合、日の丸交通の6社と提携。ソニーのAI技術を導入するにあたり、タクシー会社6社とソニーペイメントサービスが、今春に配車サービスのアプリケーションなどを開発・運営する新会社を設立するという。
AI技術を用いたタクシー配車は、すでにドコモやソフトバンク、DeNA、また自動車メーカーのトヨタなども出資や開発、提携等で協業を開始している。実証実験もすでに始まっており、サービス提供に向けての実用化が急ピッチで進んでいる。この先、思わぬ形でタクシー迎車を頼む必要があっても、スマートフォンなどを使って手軽にストレスフリーのタクシー乗車が出来る日も、そう遠くないかもしれない。