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コラム
(2018/05/31)今週末、静岡・富士スピードウェイにおいて、スーパー耐久シリーズ第3戦が開催される。5月31~6月3日に行われるこの一戦は、なんと24時間レースとして行われるものであり、日本国内での24時間レースが実施されるのは10年ぶりとなる。近年はプロドライバーも数多く参加し、また参戦車両もバラエティに富むシリーズ戦だけに、日本における新たな耐久レースイベントとして話題を集めそうだ。
・富士開催は50年ぶり
今年1月、東京オートサロンの場でスーパー耐久機構(STO)が富士スピードウェイにて24時間レースを開催すると明らかにした。国内での24時間レースが10年ぶりならば、富士での開催はなんと50年ぶりとのこと。かつて”INTER TEC”という名称でツーリングカーのイベントで人気を博していたが、その歴史を受け継ぎ、いよいよ24時間の戦いを繰り広げることになる。
振り返れば、スーパー耐久における24時間は富士ではなく、北海道・十勝で開催された歴史がある。だが現在、十勝では公式レースが行われておらず、スーパー耐久のカレンダーからも24時間レースが消えていた。しかし、シーズンごとに富士でのレース時間を延長。ついに今年、復活へとたどり着いた。
開催実施にあたり、近隣の人家などへの騒音対策等も協議されているとのこと。ST-X、ST-Z、ST-TCRクラスについてはニュル24時間レースなどで使われるローノイズレベル仕様サイレンサーの装着をメーカー指定の上に義務付け。さらに、ST-1~5クラスについてはエキゾーストサウンドを『105db/1m』以下に抑えるとしている。また、的確なピット作業はじめ、夜間の走行における安全性の確保にも努力し、LEDパネル型信号機を新たに導入。このほか、照明や反射板の増設、計時システムの導入といった対応を行うそうだ。
・開催に向けて様々な角度からサポート
シリーズ戦として24時間レースを組み込むこととなったため、STOでは参加チームに対して夜間走行テストの機会を設けた。テストは3月初旬と5月上旬に実施、幸か不幸か5月のテストでは夜間走行中に雨や霧の影響を受けたという。レース本番でいきなり悪天候になるよりは、テストとはいえ経験しておくことはある意味歓迎すべき部分もあり、参加チームにとっては決して無駄ではなかっただろう。不安定な環境下でのクルマ作り、レースの運び方など、さまざまな点から見直したり検討したり、と有意義な時間であったはずだ。
サーキット場でのさまざまなサポートに加え、報道でも24時間レースを支えることが決まっている。日頃から国内外のモータースポーツ放送を行っているJ SPORTSがイベントを生中継するという。視聴には契約が必要だが、J SPORTSによると、決勝レースでのスタートとゴールの模様は無料の生放送で放映される。現地での観戦が難しい場合でも、テレビを通じて臨場感を体感できるのは貴重な経験になることだろう。
・目指すは”ジャパンオリジナル”の24時間レース
スーパー耐久として、昨年の富士戦は10時間レースとして実施。そこから今年はいきなり24時間レースという大勝負に打って出たSTO。シリーズ戦に参戦するチームが扱う車両は実にさまざま。それらが24時間という長丁場に挑むためには、なによりも大事になってくるのが安全性。深夜の走行に対する準備も進んではいるだろうが、参加ドライバー自身も参戦において高い意識を持って挑まなければならないだろう。
海外に目をやると、フランスのル・マン、ドイツのニュルブルクリンクやベルギーのスパなど、伝統ある24時間レースがたくさんある。日本のモータースポーツもその世界へといよいよ参入ということになるのだが、STOが目論むのは、日本ならではのジャパンオリジナルのレースだという。クラスが細分化され、出走する様々な車両が入り乱れて戦う様子はユニークそのもの。念願叶い、ついに幕が上がる日本での24時間レース。新たな第一歩に勝者として名を刻むのは、果たしてどのチームになるのだろうか。期待が集まる。
写真は、GTNETがスポンサードしていたC-WESTのスーパー耐久車両(十勝24時間耐久レース)