{ * Script[inc] *}
コラム
(2019/09/27)地球温暖化の問題が注視される中、折しも、アメリカ・ニューヨークにある国連本部では、「気候行動サミット」が開催され、世界各国から集まった人々が、気候変動への対応を議論した。その中には、若干16歳にして環境活動家として活躍するスウェーデンの女子学生の姿もあり、”若者の代表”として登壇、彼らの声を世界中に向けて発信したことは大きな話題になった。そんな中、環境問題とは切っても切ることができない自動車の市場はどう変化していくのだろうか。
・20年以内に世界はEV市場へ?
このほど、日本のとある調査会社が世界の電気自動車市場についてまとめた情報を公開した。これによると、2035年を迎える頃には、世界のEV市場は2200万台に上るだろうとしている。これは、2018年比で16.9倍という数値だ。現在、EVとその他のエコカー、いわゆるハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)とほぼ同数の市場が、この先5年を目処にして、EV市場が急速に伸び、そこにPHV、さらにHVが追随する形になるだろうと予測している。数値出来にはPHVで1100万台、HVは785万台というから、EVがPHVのおよそ2倍の勢いで普及するという算段だ。
ダントツの伸び率を見せると予測されるEVだが、PHVであっても同比17.8倍、HVも3.4倍と上昇傾向にある。ただ、近年、EVにテコ入れしていた中国が市場での国産車開発が思うように伸びず、トヨタが技術を公開したHVもエコカーとして優遇措置の対象としたことから、この先、HVの市場が持ち直す、あるいは予測よりも伸びる可能性も潜んでいると言えよう。
航続可能距離が伸び、公共施設における充電設備の普及も相まって、EVの世界市場は拡張の一途をたどっている。各国の政府による環境規制、政策等でのバックアップが購入者の大きな動機づけになっていることも事実だろう。だが、どうしても利便性を考えると、まだまだEVに対してのハードルは高く、当面の車両購入ともなれば、やはりすでに身近な存在で、かつ求めやすい価格で提供されているHV、そしてもう少し先になればPHV、とステップを踏むような形で次世代のエコカー、つまり環境自動車に馴染んでくるのではないだろうか。
・中国はもちろん、その先にあるのはインド市場
当面、市場として大きな伸び率を期待できるのは、やはり中国。同調査の分析によると、2035年には世界全体のおよそ5割、台数にして1056万台の市場規模になるという数字が発表されている。ただ、やはり購入車両のシフトを見ると、世界的な動向と似ているのも事実。いきなりEV購入ではなく、まずはHVから、という”ステップアップ”が無難なようだ。ちなみに世界市場でも、HVはEVのおよそ1.8倍売れている。高額な買い物をするにあたり、”保険”的意味を持つものを買おうというのは、正しい判断とも言える。
ところで、中国での市場活性はおおよその予測が立ちやすい一方、まだまだはっきりとした市場の傾向が読めないものの、その規模の大きさには誰もが注目している国がある。それがインドだ。正直なところ、他国よりも環境自動車というジャンルでまだまだ発展の余地が残されているインド。実際、2018年での市場はEVを中心に数千台にとどまっており、HVですら優遇措置がないため、市場での動きは小さい。しかし、政府はすでに市場の活性化に向けて動き始めており、目標台数として2020年には600から700万台を掲げているとのこと。さらに、同国の道路交通省が2023年までにEV普及率を15%以上とする目標を表明しており、国家レベルでの環境自動車普及に向けた積極性が具現化していることも事実だ。
現在、インドの国内自動車メーカーでもEV生産販売促進プログラムに沿って事業拡大を進めており、今後はインド国内におけるEV化が加速する可能性も極めて高いと考えられる。なお、予測としては、20235年でEVが37万台、PHVが4万台、HVは3万台になるとしている。
EV市場への積極的な働きかけは国家としてのプロジェクトに位置付けされることが多く、一様にいかない部分もある。今回の調査では、中国、インドのほか、注目すべき国としてオランダが挙げられた。やはり国をあげてEV普及の政策を掲げている模様だ。5年、10年というスパンで、今後はエコカー、つまり環境自動車がどう普及していくのか、各国の”お国事情”とともに注視することになりそうだ。