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クルマ+先端技術=新たなマッチングに期待!?

コラム

(2024/10/27)

「東京モーターショー」から「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー)」へ。およそ70年間続いてきた”クルマ”のショーが2023年から新たなイベントへと生まれ変わった。今年2年目を迎えた歴史あるショーは、さらに”クルマ”を介して次世代おモビリティ社会、ひいては新たなビジネスモデルにチャレンジする企業の晴れ舞台へと変わりつつある。異業種間同士の結びつきによって、何が見えてくるのだろう。

・もはや”モーターショー”ではない
昨年、4年ぶりに復活した「”元”東京モーターショー」は、「ジャパンモビリティショー」と改名された。新たなイベントとして幕が上がり、自動車メーカーがコンセプトカーやデビュー目前の車両をお披露目する”クルマ”が展示されたブースに加え、さまざまな”モビリティ”に触れることができるブースがたくさんお目見えした。そこで新しく目についたのが、ベンチャーやスタートアップ企業の出展。これからの時代に求められるであろうパーソナルモビリティ、エアモビリティなどの”近い未来”を想定したようなものが多く、自動運転やドローンなど、最近なにかと話題に上るものも数多く見受けられた。

モーターショーといえば、各自動車メーカーが威信をかけて最新の技術を盛り込んだ”一台”を展示するイメージが強かった。東京モーターショーは国際モーターショーとして知られるドイツ・フランクフルト、フランス・パリ、スイス・ジュネーブ、そしてアメリカの北米国際オートショーに並ぶ、世界5大モーターショーのひとつでもあった。だが、モビリティショーへと姿を変えた今は、”モーター”に限ったショーではないことを否が応でも認識せざるを得ない。モビリティ=移動という広い視野をもってイベントを堪能することが、”今どき”のショーだということがわかる。単に名称が変更された自動車イベントではなく、今や”自動車を含む”移動などのツール_ロボット、ドローン、電車などのモビリティそしてそれに関わるサービスを展示するイベントに位置づけられるといえるだろう。

・モビリティ全般から異業種との接点を求めて
東京モーターショーから名前が変わった2023年。「豊かで夢のあるモビリティ社会を創りたい、という想いのもとに、様々な仲間が集まり、未来を提示するイベント」として初開催された。メーカー側から提案される次世代や夢のクルマにとどまらず、「あったらいいな」を来場者の視線で展開できるよう、参加企業の幅も広げた。これにより、多くのスタートアップ企業がショーへの参加を決め、バラエティ豊かなブースが会場を埋めることになった。

また、東京モーターショー開催時は2年に一度だったものを、今年から毎年の開催を実現。自動車の開発にとどまらない技術の進化は”待ったなし”であることから、毎年の開催に踏み切ったようだ。今年は、「モビリティ関連企業と次世代を担うスタートアップによる、ビジネス共創を生み出すビジネスイベント」という、企業連携を推進する”プロセスイヤー”として実施。モビリティ業界のビジネスに関わる関係者が集うイベントに位置づけた。一方、来年、つまり今後奇数年においては、一般的なショー的要素を濃くした”ショーイヤー”に定めるとのこと。1年ごとに交互で主なる内容を変えて実施するという。このため、偶数年にあたる今年は、先端技術の見本市として知られる「CEATEC(シーテック)」との併催となった。かつて「エレクトロニクスショー」と呼ばれたこのイベントも、情報、通信や映像という枠を飛び出し、デジタルネットワークを取り込み、最先端ITやエレクトロニクスの総合展示会へと発展。そこにビジネスでの展開が増長し、「デジタルイノベーションの総合展」へと成長した。東京モーターショーがジャパンモビリティショーへとなった今、このデジタルイノベーションが経済発展や社会課題の解決に不可欠であり、互いが”共創”できる存在であることは間違いないだろう。結果として、今年のジャパンモビリティショーには、200社を超える企業が出展を果たしている。

”クルマ”としての色合いが出た展示エリアには、「電気自動車」はじめ、「カーボンニュートラル燃料」、「プラグインハイブリッド」、そして「水素燃料電池/水素燃料」に区分された車両を見ることができた。世界と比較して、まだ一般乗用車としてのEVが浸透していないこともあり、展示車両は路線バスやゴミ収集車、トラックといった車両が多かったようだが、カーボンニュートラル燃料車両および水素燃料電池/水素燃料車両のブースには、スーパー耐久に参戦するチーム車両の展示も見受けられた。

一方、新たに設けられた商談用スペース「ビジネスマッチングエリア」には、スタートアップ企業とメーカーとが互いの技術を活かしたマッチングを検討するなど、”次なる一歩”を意識する機会にもなったようだ。メーカーの製造現場にまだまだ残っているアナログなやり方を見直すにあたり、スタートアップ企業が得意とするAIを活用する方法はないのか??。そんな”あったらいいな”をより具現化する出会いの場でもあったようだ。

ビジネス目線ではなく、単に”未来のクルマ”を堪能するためのショーから、人の生活にこの先どう関わっていくことになるのか、新たな”モビリティ”のあれこれに触れるショーへと姿を変えたジャパンモビリティショー。とりわけ今年は、企業連携を推進する”プロセスイヤー”として企業同士の連携が強調された感じがするが、2025年は”ショーイヤー”の年。「乗りたい未来を、探しにく場」として開催されるという。また新たな魅力を堪能できるのではないだろうか。

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