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コラム
(2024/11/27)このほど、日本自動車連盟(JAF)がガソリン税等にかかる暫定税率と自動車関連諸税について声明を発表した。折しも、政府が買う技決定した新しい経済対策のひとつとして、ガソリン減税を挙げている。マスコミはじめ、日々「103万円の壁撤廃」を取り上げ、減税や税収減少と騒がしいが、自動車を愛して止まない、あるいは自動車が生活必需品である人々にとっては、ガソリン減税の実現に大きな期待をかけている。
・ようやく注目される!? 「トリガー条項」
所得税がかかる年収の最低ラインである「103万円の壁」をめぐり、召集が続く臨時国会。税制改正に向けて金額はまだまだ議論が続きそうだが、もうひとつ日常生活において重要な課題がある。それが、ガソリン減税だ。
これらの問題を大きく取り上げていたのは、国民民主党。しかしながら、今回の衆議院選挙から始まったものではなく、ガソリン減税の件に関しては、以前から「トリガー条項」発動を政府に求めてきた”歴史”がある。ところでこの条項だが、ガソリンの平均小売価格が3ヶ月連続でリッターあたり160円超になると、自動的にガソリン税が「本則税率」のみとなる仕組みをいう。また、「本則税率」とは、揮発油税と地方揮発油税を示すが、ガソリン価格がいくらになろうとも、リッターあたり28.7円! という大きな税金がかけられている。一方、リッターあたり160円以下のときは、「特定税率」という税金がかかっている。これも「本則税率」同様に固定額でリッターあたり25.1円が”上乗せ”されている。さらに、石油石炭税と地球温暖化対策税として「石油税」が存在し、こちらはリッターあたり2.8円。つまり、税金だけでもリッターあたり55円超が計上されていることになる。
ところで、「石油税」はともかく、なぜ「本則」と「特定」の税率が存在するのだろう。とくに「特定」とは、なにと”特別に定めて”いるのか。起源は1974年。当初は「暫定税率」という名称で道路特定財源として設置。全国に道路を作るための財源に充てられることを目的とした。だが、いったいいつまで暫定なのか、という議論があがり、その結果、2010年に廃止に至る。ところが、暫定税率の”うまみ”は捨てがたったのであろう。その後は”特例税率”を新設。税額も同額であり、単に名前をすり替えただけと言われても仕方ない。あえて言うのであれば、道路建設に限定せず特定の使い道を定めない一般財源に充てられており、”別物”であるには違いない。ちなみに、これらの税率に加え、消費者は消費税も支払っていることをお忘れなく。しかも、本来であれば、ガソリンそのものの”本体価格”に対しての消費税だけでよいはずが、「本則」「特定」の2つのガソリン税と石油税を合わせた”総額”に対して10%の課税が行なわれている。税金に対して、消費税を課すという”二重課税”が堂々と行なわれているのが不思議で仕方ない。結果、消費者は支払うガソリン価格のおよそ4割が税金であることを意識する必要があるのだ。
・トリガー条項が発動されると!?
長きにわたり問題視されてきたトリガー条項が発動されると、課税されているガソリン税のうち、「特定税率」つまり、25.1円分が不要となる。30リッター給油する場合なら、およそ750円ほど減税、つまり”安く”なる。コロナ禍が明け、その後ガソリン価格は高騰。さらにはここのところ円安が続き、ガソリン価格の値上げは家計を圧迫しているもののひとつでもある。単純に考えても、条項の発動は両手をあげて大賛成と受け止める人は多いはずだ。高騰に対し、政府は「ガソリン補助金」なるものを拠出し、対策を講じたが、焼け石に水ともいえる状況。都度、政府からの”持ち出し”となるだけに、根本的な解決とはいえない。
さて、この条項撤廃を声高に言い続けてきたのが、前述のJAFである。公式サイトにも掲載されている声明文には、「ガソリン税等に50年以上も論理的な説明もなく上乗せされている『当分の間税率』には多くの自動車ユーザーが見直しを要望し続けてきましたが、検討されることはありませんでした。そのため、今回検討の機会を与えられたことは、自動車ユーザーにとって納得できる税体系を達成するための重要なステップであると考えており、JAFはこの機会に改めて強く要望いたします」とある。彼らが長きにわたって主張してきたことをあらためて明文化し、発動実現を後押しする。
JAFでは、要望活動にも取り組んでおり、政府はじめ関係省庁、さらに自治体等へ税制改正に関する要望書を持参。加えて、全国の街頭でJAFの要望を伝えるなど、さまざまな場所で自動車税制改正の要望活動を実施している。自動車ユーザー団体として、出来うる限りのことに取り組む姿勢は評価できるものであり、政府による乗降撤廃が現実化に進むよう、願うばかりだ。