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コラム
(2025/01/31)開催近づく大阪・関西万博。4月13日から6ヶ月にわたり、大阪市此花区の夢洲を舞台に、世界各国から多くの人、モノが集まるイベントとなる。大阪での万博は1970年に次いで2回目。パビリオンの建設お遅れや関心の低さなど、どちらかとネガティブな声が多いようだが、そんななか、早くも開催後の跡地の利用について話題が集まっているのをご存知だろうか? なんでもサーキットを建設予定というのだが……。
・夢洲の”歴史”
大阪湾の中心にある夢洲。廃棄物処分地の整備地であり、建設土砂などを利用して埋め立てられて作った人工島だ。島の歴史は長く、一時は新都心として人が住む居住地としての開発計画もあったが、いわゆるバブル崩壊で頓挫。その後、1990年代には「大阪オリンピック構想」が持ち上がり、夏季オリンピックの誘致に手を挙げたことを記憶している方もいるのではないだろうか。しかし、実際には誘致に失敗。都市計画そのものが2008年に白紙撤回された過去がある。
その後しばらくは、単なる埋立地として広大な空き地が目につくだけで、なんの利用もなく”負の遺産”と言われることもしばしば。そこに目をつけたのが、大阪維新の会が発案したカジノを含む総合型リゾート、いわゆる”IR”としての誘致だった。誘致活動の話が上がったのが、2014年。その後、この流れを受けて2016年には2025年万国博覧会の大阪招致構想が上がり、当然のことながらその会場候補地として夢洲が指名されたというわけ。
無事に!? 万博の開催地として決定したのが2018年。同年には大阪メトロ(地下鉄)の延伸工事が決定したが、2020年には新型コロナウイルス感染拡大のパンデミックの影響を受け、IR誘致が遅延。その影響は万博に出展する諸外国のパビリオン建設においても影響を及ぼした。
そんななか、1月19日には大阪メトロ(地下鉄)中央線夢洲駅が開業。まず、4月からの万博で来場者を迎え入れることになり、その後は2030年頃に開業が予定されているIRへの訪問者が利用する交通アクセスとして機能することになる。
・民間からの開発計画
ひとまず、今年10月中旬まで、夢洲は”万博色”で染まる事になるが、終了後の”ハコモノ”をいかに活用するか。跡地の活用策もすでに動いている。その具体案がこのほど選定されたのだが、そのひとつにあったのが、サーキット場の設置だった。
大阪府と大阪市では応募のあった3案のうち、2案を優秀案としたというが、サーキット場の設置をうたったのは、大林組を代表企業とする計7社による「夢洲第2期区域開発基本構想検討会」が提案したものだった。ちなみに、大林組以外の6社については、社名は非公表だという。そこに記されていた案は、以下のようになる。
国内外から集客を見込める大型アリーナ、モータースポーツを楽しめるサーキット場、クルマをテーマにしたアミューズメントパーク、複数のホテルなどを計画地内に配置する。そして、その先に掲げたのが、「自動車レースの最高峰であるF1シリーズを大阪に誘致する」というものだった。なお、大型アリーナについては西日本にない大規模なものだという。また、サーキットについては、イベントでの活用を含め幅広く府民・市民の活用も可能とすることで、万博跡地のまちづくりとしてふさわしい計画であるとも。
「大阪」と「F1」。この言葉でピンときたモータースポーツファンがいても不思議ではない。というのも、昨年、大阪観光局が大阪へのモータースポーツ誘致に手を挙げていたからだ。民間を中心にして進む招致計画として、同局が率先。現在は、「大阪モータースポーツ推進協議会」を組織し、すでに会合も行なわれている。当初、F1誘致だけがクローズアップされ、大々的にマスコミにも報じられることとなり、鈴鹿での日本GPを愛してやまないコアなモータースポーツファンからは、厳しい声が上がったことも記憶に新しい。その後、協議会ではF1のみならず様々なモータースポーツイベントを開催することを目指す方向に”軌道修正”。大阪に新たな”モータースポーツの聖地”を作り上げようとしている。
年に一度のF1だけでは、単なる”打ち上げ花火”になってしまう。誘致に莫大な予算を投資したところで、未来永劫開催される保証はなにひとつとしてない。それならば、F1に限定せず、通年でモータースポーツを楽しんでもらえるような土壌を作ることで、”聖地”につなげていきたいという考えにスライドしたようだが、常設サーキットということになれば、施設等にかかる予算等、決して生易しいものではない。今後、どのような計画に沿ってプランニングされていくのか、しっかりと見守る必要がありそうだ。