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モータースポーツ情報
(2025/02/28)例年以上に厳しい寒さに見舞われた今冬だが、早いもので3月を迎える。そして、モータースポーツファンがそろそろ本格的に始動!? するのもそう遠くはない。公式テストが降雪の影響を受けて、存分にできずに終っている……などという残念なニュースもあるが、シーズンが開幕すれば、熱気と迫力でいつもどおりの激戦を披露してくれるはず! そこで今回は、国内レースを代表する3カテゴリーの見どころをお伝えしよう!
●全日本スーパーフォーミュラ選手権
3カテゴリーのなかで、一番早い、3月7日にシーズン開幕を迎えるのが全日本スーパーフォーミュラ選手権だ。オフシーズンには韓国での開催も話に上がったが、最終的には今シーズンも日本国内での実施となった。12月には合同テストとルーキーテストを鈴鹿サーキットで実施。コロナ禍が収束するなか、外国人選手の参戦もふたたび増え始めて勢いある若手ドライバーがしのぎを削るシーズンになりそうだが、最終的に今シーズンを戦うのは、13チーム、22名のドライバーとなる。
開幕戦の舞台でもある鈴鹿では2月18、19日に公式合同テストが実施されたが、あいにく最強の寒波襲来のタイミングとなり、2日目のセッションはすべてキャンセルに終っている。走行が叶ったのは、初日の5時間のみ。翌日の雪を心配し、予定を変更して時間を延長しての走行だったというが、それでもドライバーはもとよりクルマを仕上げるエンジニアとしても決して十分な時間ではなかったであろう。また、テスト中の天候は激寒で、気温もかなり低く、今シーズンから新しく投入が予定されている、より”エコ”仕様となったニュースペックタイヤのパフォーマンスの見極めも存分にできたとは言い難い。降雪の影響で同じく新たに用意されたウエットタイヤのテストにはなっただろうが、シーズンを通して、これほど低温のコンディションでレースが実施されるかどうかは知る由もない。セッション中は赤旗も多発したようで、ロングランはもとより、アタックシミュレーションも含め、各チームが事前に準備してきたメニューをどの程度”消化”できたかどうかも気になる。とはいえ、各ドライバーに与えられたチャンスは”均等”。同じスタートラインに立ってシーズンを迎えるなか、鈴鹿ではいつも以上に限られた時間で好結果を出す”スキル”の高さが問われる一戦となりそうだ。
レースフォーマットに関しても、”見直し”が行なわれた。昨シーズンは、シーズン後半戦の富士と鈴鹿において、2レース制が導入されたが、今シーズンは7大会のうち5大会で導入されることになり、結果、昨シーズンより3戦多く、全12戦での戦いとなる。これまでは、金曜日に90分1本のフリー走行を実施していたが、今シーズンは、午前、午後に各1時間のフリー走行を設けることになった。土曜、日曜の各日は、午前中に予選、午後に決勝を迎えることから、それぞれをシミュレートしたセットアップに反映しやすくなることだろう。
開幕戦の鈴鹿では、日本人2名、外国人3名の5人のルーキードライバーをはじめとする22名がどのようなパフォーマンスを披露するのか。その初戦から注目していきたい。
●スーパー耐久シリーズ
スーパー耐久シリーズ2025
FIA GT3公認車両、そしてGT3規定に準ずる車両から国産コンパクトカーまで実にバラエティ豊かな車両が一堂に会して競い合うのが醍醐味のスーパー耐久シリーズ。昨シーズンの最終戦の舞台となった富士スピードウェイには、全9クラス、65台が参戦したという。長らく、アマチュアドライバーを中心に「偉大なる草レース」を展開しているが、近年はメーカーが積極的に参入して車両開発等を進めることも増えており、プロドライバーの参加も多く見受けられるようになった。結果、増える参加台数を考慮し、大会によって参加できるクラスを区分するなどの”創意工夫”が取り入れられている。また、2018年以降、国内唯一の24時間レースを富士で開催しているのも、大きな特徴といえる。
今シーズンの開幕ラウンドは、モビリティリゾートもてぎ。2021年以来となる。かつては雪化粧の開幕戦になったことも記憶に残るが、今年は春分の日を過ぎた22日に開幕を迎えるため、おそらくはその心配もないだろう。そのおよそ1ヶ月後には鈴鹿で第2戦を実施。その後は、富士スピードウェイでの公式テストを行なう。これは、5月月末から6月頭にかけて開催される24時間レースを意識してのものだ。年々、話題が増える24時間レースだが、ST-Qクラスに区分される「STOが参加を認めたメーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両」に属する車両が増えており、各メーカーが文字通り”走る実験室”としてさまざまなトライを行なう場所になりつつある。トヨタの水素燃料エンジンしかり、バイオディーゼル燃料搭載車やさまざまな”コンセプトカー”が集うクラスは、一般マスコミの話題を集めることも多く、メーカーとしては企業姿勢をアピールする場にもなっていると言えるだろう。
海外、とくにアジア圏のジェントルマンドライバーが豊富な参戦資金をもとに参加するケースも増えており、今後ますますバラエティ豊かなレースとして認知度が向上しそうだ。
●SUPER GTシリーズ
先の岡山国際サーキットでの公式テストでは、雪の降ることもあったSUPER GT。スーパーフォーミュラもそうだったが、今年はシーズン前の公式テストが厳しい寒さの影響で、なかなか予定通りに進んでいないのかもしれない。
そんななか、今シーズンはドライバーのチーム移籍や若手ドライバーのステップアップ、新たなチームの参戦等、なにかと話題が多く賑わいを見せている。もちろん、ドライバーだけでなく、チームの屋台骨を支えているスタッフ_特にエンジニアの移籍もレースの戦績に大きな影響を与えるだけに、いち早くチームとしてのコミュニケーションを確立させたいところ。そこで重要になるのが、開幕までのテストをいかに充実させるかどうかなのだ。
SUPER GTも今シーズンはレギュレーションに大きな変更を加えることになる。昨シーズンも予選方式や装着できるタイヤ等、さまざまな変更が見られたが、今年はより”新たな”方式にする、というものではなく、”よりよい形”にするためにあらためて見直しを行なうこととなった。その結果が、2023年以前のレギュレーションに戻す、というもの。とはいえ、何もかも元通りにするのではなく、2024年に導入したレギュレーションをもとに、なにが良くてなにが悪いのかを明文化して、よりシンプルにレースを行ない、ファンによりわかりやすい展開をしていこう、というのが狙いとしている。
GT300、GT500両クラスがともに激しいバトルを繰り広げるなか、より安全に、よりダイナミックにレースを進めていくために、トライ&エラーのやり方を取り入れているわけだが、都度状況に合わせて関係者の声を拾い上げていくことも大事なだけに、この改革をもって、SUPER GTもより一層面白みが増えると思われる。
そして、今シーズンは、待望の海外戦が復活。コロナ禍まではタイでの開催だったが、今シーズンからは再びその舞台をマレーシアへと戻す。F1サーキットとしても名高いセパンへと戻り、灼熱の国でSUPER GTのモンスターマシンが大暴れしそうだ。なお、まだ正式な発表は行なわれていないが、昨今の厳しい暑さを鑑みて、イベントはナイトレースで開催される可能性が高いと言われている。ウィンターテストでは夜間走行も実施されているだけに、おそらくはその流れで開催されるのではないだろうか。
いつになく厳しい寒さとなった今年の冬も、少しずつ暖かな日も増えてきた。TVの天気予報では花粉の飛散とともに桜の開花予報なども伝えられるようになった。芽吹き始めたモータースポーツの花が、まもなく開花を迎えようとしている。