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コラム
(2025/03/31)3月24日、マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」の運用が始まった。新聞やTVニュースでも報道されていたが、初日の更新手続きにはトラブルが発生するなど、必ずしもスムーズではなかった模様。ところで、このマイナ免許証というのはいったいどんなものなのか。
・”カード”は1枚? それとも2枚?
マイナ免許証とは、その言葉どおり、マイナンバーと運転免許証を一体化させたもの。マイナンバーカードが健康保険証として利用できるなっているが、今度は運転免許証も”乗っかる”ことになり、いわば最強の本人確認のための身分証明書として利用することができるようになる。
この”マイナ免許証”を入手するには、当然ながら事前に手続きが必要。免許証の更新時に自動的に得られるものではない。つまり、取得の有無は自身の選択で決められるため、従来の運転免許証でいい、というドライバーはこれまでと変わらない形の免許証を持ち続けることができる。
こう記すと、マイナ免許証か従来の運転免許証のどちらか1枚しか保有できないように思われるが、実はそうではない。希望すればマイナ免許証と運転免許証の2枚を所持することができる。ただし、そのときはマイナンバーカードと運転免許証を一体化する必要があるので、注意しなければならない。新しく作った上で、引き続き運転免許証を保有する、という形となるので、結果としては”2枚持ち”になる。一方、運転免許証の保有を求めず、マイナ免許証のみでも良いというドライバーは、現在所有する運転免許証を返納することになる。マイナ免許証を持つことに異論もなく、むしろ持ちたいと思う一方、”返納”になにか抵抗を覚えるのであれば、両方を保有するのが良いだろう。とりわけ、海外へ渡航した際、現地での運転を予定している人は諸国の事情により、従来の免許証が求められるとしており、その点は留意する必要があるといえる。また、当然ながら取得するにあたっての費用には違いが生じる。手数料など都道府県によって異なるため、ここでは大阪府警を参考にした金額を紹介するが、これまでゴールド免許が交付された優良運転者区分のドライバーが更新するにあたって必要な手数料は今年の3月23日まで2500円で講習手数料(500円)を含めて3000円だった。一方、3月24日以降に設定された新料金では、同じ区分のドライバーが運転免許証のみ保有する場合、更新手数料だけ比較すると350円アップの2850円となり、トータルで3350円になる。一方、マイナ免許証のみでの更新であれば、オンライン講習受講と対面受講から選択が可能となるだけでなく、更新手数料も2100円に値下げされ、オンライン講習(200円)を受講すれば2300円、対面(500円)受講でも2600円で済む。また、両方つまり2枚持ちを希望する場合は、更新手数料が2950円になるため、オンラインなら3150円、対面ならば3450円になる。ちなみに、マイナ免許証あるいは、両方保有を希望する一般運転者がオンライン講習で免許証を更新する場合、優良運転者と金額に差はない。違うのは、講習時間だけとなっている。コロナ禍を境にして、講習には事前予約が前提となっているため、受講日程に頭を悩ませていたドライバーにとって、これは大きな改善ポイントと言えるだろう。
・メリット、デメリットは?
デジタル庁が進める今回のマイナ免許証。マイナカードとの一体化によるメリットはどういうものか。個人情報が含まれる免許証は、引っ越しや結婚などで住所や氏名の変更が生じると、まず自治体に届け出をしたのちに、免許証への変更手続きを行う必要があった。また、運転免許センターもしくは警察署で手続きを行わねばならず、”二度手間”が生じた。しかし、マイナ免許証を取得すれば、変更届は自治体で作業が完了する。これぞ”ワンストップ化”の実現だ。
加えて、先述のように違反運転の対象でない限り、オンライン講習が受講できるようになり、更新にあたっての時間をうまく活用することができる。とはいえ、視力検査はじめ免許証用の写真の提出等、従来どおり”アナログ”での作業も残っているため、完全にオンラインで完結するものではないことを忘れないでいただきたい。
なお、マイナ免許証にはこれまでの免許証のように、有効期限等の情報が表示されなくなる。利用にあたり、専用のアプリをダウンロードすることが求められる。たとえばレンタカーを借りる際には。アプリから情報を提示するなどの”ひと手間”は避けられない。加えて、免許証に有効期限があるのと同じで、マイナンバーカードにも有効期限があるため、その”タイムラグ”によって再度ひも付けの作業が必要となることを覚えておかなければならない。マイナンバーに免許証の情報が引き継がれていない状態で自動車を運転した場合には、免許証不携帯の扱いとなり、交通違反の対象となることは盲点になるやもしれない。今後、運用が本格的に軌道に乗る段階で、不便な点が解消される方向のため、現段階では必要に迫られない限り、自ら進んで慌てて更新する必要もないのではないだろうか。
運用初日に変更手続きが行なわれるなか、マイナンバーカードに免許証の情報が登録できないなど、細かなトラブルが全国で相次いだという報道も見られたが、システム障害等の情報共有によってクリアになっている模様。デジタル化が進むなか、より便利になるシステムを”賢く”活用していきたいものだ。