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コラム
(2025/04/18)2025年4月1日、道路運送車両法規則等の改正が施行された。結果、車検の受検期間に変更がみられる。これからは、時間に余裕をもって車検の手続きが行なわれそうだ。
・1ヶ月前から2ヶ月前に
新しい車検制度の変更は、その内容がガラリと大きく変わるものではなく、更新の手続きに時間の余裕をもたせることができるようになったというもの。乗用車の場合、新車であれば購入から3年後、以降2年ごとに受けることが義務付けられている。その車検だが、満了日から1ヶ月前の時点で受検することができたのだが、今年4月以降は期間が前倒しになり、2ヶ月前から受検できるようになる。仮に、あなたが所有する乗用車が7月1日に登録されたとしよう。新車であれば、3年後の6月30日が1回目の車検満了日となるため、車検は1ヶ月前の5月31日から受検することが可能だった。それが新たな規則によって、これからはさらに1ヶ月前の4月30日から受検が可能になる。そこでふと疑問が浮かんだ方がおられるかもしれない。車検を受けた日からカウントダウンが始まるのであれば、早く受検すると、次の有効期限がその分早まるのではないか? そう不安に思ったのではないだろうか。答は有効期間は失われず、前倒しされないのでご安心を。また、これに合わせ、自動車損害賠償保障法施行規則を改正。つまり、自賠責保険の有効期間も整合される。ユーザーは、時間に余裕があるときに早めに受検の手続きをし、安全と安心を手に入れることを心がけたいものだ。
・法改正に至った背景とは?
国土交通省のウェブサイトに記載された報道資料によると、車検重要は年度末に集中しているとのこと。これには、自動車販売店のセールス方法にも一因があるだろう。というのも、国内の新車購入による新規登録が集中しているのは、3月と9月。販売店の決算期が関係していると言われている。要は、決算期に売上増を狙い、販売台数増加に力を入れてきたからため。結果として、特定の月に車検を受ける車両が多くなるというわけだ。受検のため、整備工場のあるカーディラーだけでなく、いわゆる車検を請け負う自動車整備工場はもちろんのこと、最終的に車両を持ち込む陸運支局にも受検対象の車両が集中することになる。
いわゆる繁忙期のようなピークになっても、かつてはディーラー勤務の整備士はじめ、街なかの整備工場も数多くの仕事をこなしてきたはず。しかしながら、昨今どの業界も働く人がじわりじわりと減少し始めている一方で、車検を必要とする車両の台数にはさほど変化が見られない。とすれば、結果的に人手不足になることは容易に想像できる。現場では、期日中に間に合わせようと負担増となり、雇う側の会社にも負担が増えてしまう。決まった時期の混雑緩和は、自動車整備士の”働き方改革”でもあったのだ。
一方、車検に出すユーザーもわずか1ヶ月のなかで日程を決めなければならない。希望する日時での受検が叶わなければ、期限が切れてしまう可能性もゼロではないため、このたびの法改正により、スケジュール調整のハードルが格段下がることになった。付き合いのあるディーラーや整備工場に早めの問合せをすることは大前提とはいえ、1ヶ月から2ヶ月に拡大されたことで、幾分心にも余裕を持つことができるといえよう。
また、昨今の物価高によって車検費用も高くなっている。年間の出費の中でも大きな割合を占める部分であるため、受検までゆとりができたことで、近隣の整備工場等で見積もりを比較することもできるようになるのではないだろうか。当然のことながら、店舗側もそれを見越し、新たな付加価値サービス等をアピールするようになるかもしれない。新たな法改正によるメリットをユーザーとしてしっかりと活用できるよう、”賢い”カーライフを送りたいものだ。